住まいの印象をつくる要素には、床や壁だけでなく、天井もあります。
天井は、床のように直接触れる場所ではないため、耐水性や汚れにくさといった機能面で素材を選ぶことはあまり多くありません。一方で、天井の仕上げ方によって、以下のように空間の高さや広がり、光の受け止め方は大きく変わります。
・白くシンプルに整える
・躯体をそのまま見せる
・木を張って素材感を加える
今回は、KITIが手がけた住まいを通して、天井仕上げの考え方をご紹介します。
シンプルに整える白いクロス天井

天井仕上げの中で最もスタンダードなのが、白いクロスを貼る方法です。
壁と同じように白いクロスで仕上げることで、空間全体がすっきりと整い、明るく清潔感のある印象になります。コストを抑えやすく、シンプルに収められる点も大きなメリットです。
芦花公園の家では、壁と同じく天井にも白いクロスを採用しました。主張しすぎない仕上げとすることで、ラワンのボックスやガラス間仕切り、間接照明の光が自然に引き立つ空間となっています。
躯体を見せるコンクリート現しの天井

マンションリノベーションでは、既存の天井を解体し、コンクリートの躯体をそのまま見せる方法もあります。
いわゆる躯体現しの天井は、空間にラフで力強い印象を与えます。天井高を確保しやすく、建物そのものの質感を空間に取り込める点も魅力です。
ただし、解体してみるまで、どのような状態の躯体が現れるかは分かりません。表面がきれいに残っている場合もあれば、ざらつきや補修跡が見えることもあります。そのため、仕上がりの個体差を楽しめる方に向いている方法です。
木材を張り、視線を導く天井

天井に木材を張ることで、空間に温かみや連続性を生むこともできます。
墨田の家では、床のフローリングに合わせて、オーク材の羽目板を天井面にも使用しました。さらに、視線が外へ向かうような勾配天井とすることで、室内から窓の外へと意識が自然に抜けていく構成としています。
床と天井に同じ素材を用いることで、空間全体に統一感が生まれます。木の表情が上下に呼応し、住まいに落ち着いた奥行きを与えています。
躯体現しに塗装を重ねる仕上げ

コンクリートの躯体をそのまま見せるだけでなく、そこに塗装を加える仕上げ方もあります。
碑文谷の家では、コンクリート現しの天井に塗装を施しました。躯体の質感を残しながら色を加えることで、空間全体の雰囲気を整えています。
無塗装にすれば武骨な印象に、白く塗装すれば明るく軽やかな印象に。コンクリートの素材感を活かしながら、住まいのイメージに合わせて調整できるのが特徴です。
躯体の荒さをそのまま見せるのではなく、塗装によって空間になじませる。そんな選択肢も、天井仕上げのひとつです。
空間の印象を静かに変える天井

天井は、普段あまり意識されない場所かもしれません。
けれど、白いクロスで明るく整えるのか、コンクリートを見せてラフに仕上げるのか、木を張って素材感を加えるのかによって、空間の印象は大きく変わります。
また、照明の入れ方によっても天井の見え方は変化します。間接照明で光を広げたり、梁や勾配を活かしたりすることで、天井は空間を整える大切な要素になります。
KITIでは、住まい全体の雰囲気や素材のバランスを見ながら、その空間に合った天井の仕上げを考えています。
写真:貝出 翔太郎