住まいの表情を魅力的に演出する、照明デザインの秘訣。KITIのリノベーションプロジェクトでは、照明計画にも特別なこだわりを持ち、各物件の個性を引き立てる光の設計を行っています。今回は、照明計画におけるKITIのこだわりを、実例を交えながらご紹介します。
従来型の照明計画から脱却する
私たちKITIが目指すのは、天井にダウンライトを並べる従来型の照明計画からの脱却です。
たしかにダウンライトには「初期コストが安い」という大きな利点があります。
しかし、それだけに頼ると、空間本来の魅力や個性を引き出せないどころか、むしろ損なってしまうことも少なくありません。
まずは、眩しさの問題。ダウンライトは直接的な下向きの光を放つため、見上げた際に不快な眩しさを感じてしまうことがあります。
そして、デザインの観点からの課題です。天井から器具や配線が見えてこないため、スッキリとした印象を演出することはできるのですが、ダウンライト器具本体はそこまでデザイン的に美しい照明器具ではありません。ダウンライト一辺倒だと、なんだか工夫が感じられない空間になってしまうことがあります。
では、ダウンライトに頼りすぎない照明計画をすると、実際にどのような空間ができあがるのでしょうか。ここからは、KITIが手がけたリノベーション事例を見ていきましょう。
case#01 間接光だけで部屋をやさしく照らす
KITIの事務所では、照明の存在感を上手に消せる工夫をすることがあります。
お客さまとの打ち合わせスペースとスタッフのワークスペースの間にポリカーボネート製の仕切りを作り、レール上部に照明を入れることで、部屋全体を優しく照らすようにしました。
一方、この照明だけだと、席に座った際に自分の手元が自分の影で暗くなってしまいます。そこで棚下に埋め込めるタイプのダウンライトを設置して、手元を明るく照らせるようにしました。
このようにダウンライトが効果的な場所には、積極的に使っていきます。
事例 | UCHU-KITI
case#02 帰る人をあたたかく迎え入れるベンチ照明
私たちは、集合住宅のエントランスホールを、帰ってきた人がホッと一息つける癒しの空間として捉えています。
この理念に基づき、当社が手がけた賃貸集合住宅のエントランスでは、従来の天井埋め込み式ダウンライトを極力避け、革新的な照明デザインを採用しました。
その中心となるのが、こちらのベンチ照明。玄関からエントランスホールに続く壁面に、照明を組み込んだベンチを設置。これにより、柔らかい間接光が、空間全体を優しく包み込みます。
メールボックス上部にも間接照明を設置。落ち着きのある間接光は、そこに住む人や訪れる人をやさしくあたたかく迎え入れる役割を果たします。
事例 | オープンブルーム品川南大井
case#03 空間の陰影を美しく演出する照明
自然派ワインを気軽に楽しめるカジュアルさがコンセプトのこちらのお店。訪れる人がゆっくりと過ごせるように、木目を基調とした落ち着きのある空間に合わせたのが、電球のトップが鏡になっている「Tミラー照明」です。
壁面にブラケットライトを取り付け、電球の半分が鏡になっているミラー電球を使用。光源が直接目に入りにくいため、優しい空間演出が可能です。また、壁に設置することで間接光も作り出せます。
ミラー照明からスポット的に表れる光が部屋の奥行きや陰影を演出します。この特徴的な見た目の照明は、日中電気をつけない場合でも、壁から出ている様子が空間の一要素を担え、インテリアとしても楽しむことができます。
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照明計画は、空間デザインの要。リノベーション、新築ともに照明を空間の一要素として考えデザインすること。それによって単なる「明るさの確保」を超えて、空間の質を高め、人々の暮らしをいっそう豊かにしてくれます。