“KITI”づくり ~【マンションリノベ編2】究極の猫部屋を目指して~猫トンネル編

「猫と人が暮らす家」をテーマにしたマンションリノベーションのプロジェクトが竣工を迎え、8月末に引き渡しを控えています。

リノベーションの過程はこちらの記事をご覧ください。

“KITI”づくり ~【マンションリノベ編2】究極の猫部屋を目指して~

このプロジェクトでは、猫と共に暮らすお施主さまの要望に応え、「猫用トンネルを2ヶ所設置する」という特徴的で楽しい設計を行いました。

塗装仕上げの物件で、建具などの枠が出ないデザインがご希望でした。この要望に応えつつ、猫トンネルについては長期的な品質維持を考えながら、いくつか工夫をしています。

塗装割れが発生しない曲線の入り口を作る

まず取り組んだのが、猫用トンネルの入り口などに曲線形状を作ることです。

通常、このような丸角の入り口にするときは、薄い木材を曲げたものを小口面にはめ込んで下地を作ります。

しかし、完成から時間が経過したときに問題が……

今回は周囲の壁の材料としてボードを使うので、木材との伸縮率の違いから、継ぎ目部分の塗装面が割れてしまう可能性が高いのです。表面に見える部分なので、美観を損ねる割れは避けたいところ。

また、木材は時間とともに灰汁(アク)が出てくるという問題も。オイル仕上げなら問題ありませんが、今回のように真っ白な塗装で仕上げたい場合には不向きと考えました。

これらの問題を解決するため、今回使用したのがスチールの下地です。工場で曲線に加工したスチールの枠を、木の下地の中に入れ込むことで、曲線形状がカッチリと決まりました。

窓サッシの下枠など触ったり踏んだりすることが多く、傷や汚れが出やすい箇所には、必ず木を入れますが、結果として枠が出てしまいます。スチールを使用することで傷もつきにくく、枠がでないすっきりとした納まりが実現できます。

さらに、猫用トンネルとの調和を図るために、人の開口部のエッジも丸くデザイン。猫と人との動線が、視覚的にも機能的にも調和した空間ができあがりました。

最近、人気の高いペットリノベーション。大切なペットと人が快適に暮らせる機能性を持たせるだけでなく、開口部一つから意匠性にもこだわることで、より豊かで調和のとれた住空間を創造することができます。