デザイン好きの若いご家族と、2匹の猫が暮らす住まい。
3つの大きな採光窓から差し込む自然光がリビングいっぱいに広がり、家全体に豊かな明るさと開放感をもたらしています。
この住まいのもうひとつの特徴は、水回りを中央に集約した回遊性の高い間取りと、島のように配置された造作家具たち。
家族も猫たちも、それぞれのペースでのびのびと動ける動線設計が、暮らしにちょうどいい余白を与えています。
空間の中心がぐるりとつながっているから、視線も動きも、風通しもスムーズ。生活そのものが軽やかな印象を与えてくれる空間ができあがりました。
「猫が外を眺める家」についてはこちらのブログもご覧ください。
KITIのマンションリノベーション「猫が外を眺める家」が完成しました
映画のような玄関演出

この家を語るうえで欠かせないのが、玄関に設けられた「橙(だいだい)に光る建具」です。
玄関の奥からほんのり橙色に光を放つその姿は、まるで映画のワンシーンのような近未来感をまとっています。
部屋の窓から差し込む光をそのまま透過し、玄関の空気をもやわらかく染め上げる橙色の建具は、その機能を超えた仕掛けを演出しています。
建具の素材は工場用のビニールシート

この目を引く建具、実は工業用ビニール素材を使って作っています。
本来は工場などで防虫カーテンの用途として主に使われている素材ですが、その独特の透光性と色味をあえてデザインに落とし込むことで、家の中に遊び心と非日常を持ち込みました。ビニール素材のため、使い勝手も良く軽いのも魅力です。
チェッカーガラスのような格子の表情

このビニールシートの中には、メッシュ状の補強素材が埋め込まれており、チェッカーガラスのような細かい陰影が浮かび上がります。
格子状のディテールが光を受けて複雑に揺らぎ、時間帯によって異なる表情を見せるのも魅力のひとつです。

この家は、使いやすさや心地よさをしっかりと追求しながらも、どこかに遊び心や意外性を持たせました。
橙に光る建具も、回遊性の高い間取りも、家族の「好き」や「楽しい」を大切にした結果です。