既製品の家具や建具などは選び方しだいで、オーダーメイドのような洗練された仕上がりを実現できます。
今回は、既製品の引戸を用いながら、ここまでミニマルで美しい空間をつくることができるという実例をご紹介します。コストをおさえつつ空間の質を上げるデザインをご覧ください。
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親世代に優しい住まいへ~バリアフリーとデザインを両立するリノベーションプロジェクト~
天井にレールを埋め込んで存在感ゼロへ
引戸レールは目につきがちな存在です。
その場合、既製品の天井埋込仕様オプションを活用することで、レールの存在をスッと消すことができます。
天井から床まで視線が途切れずに抜けていく感覚は、空間を広く静かに感じさせてくれるのがメリットです。
枠をあえてなくして美しさを保つ
通常引戸には枠がセットされる場合が多いですが、あえて「枠なし」で仕上げることで壁面がより一体化した印象になります。
「キズが心配」との声もありますが、既製品にはソフトクローズ機能が標準装備されていることが多いため、壁を傷めにくく、デザインを優先しても安心です。
明かり漏れは壁の段差で解決する
枠がないことによる懸念点のひとつが光の漏れです。この課題には、壁に少しの段差を設けることで対応しました。
シンプルな見た目を保ちながら機能性も損なわないデザインです。
把手はミニマルに・鍵は主張しないものを選ぶ

今回、標準仕様の把手を外し、他メーカーのミニマルなデザインの把手に差し替えました。
主張しすぎない把手にすることで空間にノイズが生まれずに全体のトーンも整います。
そして、見落としがちなのが鍵の存在です。ここで採用したのは「カンヌキ鍵」と呼ばれる鍵。扉を閉めたとき、壁につけた棒状のものを扉の穴(写真下側)に入れ込むことで鍵がかかる、というようなシンプルな構造をしています。
ミニマルな空間には鍵も同様にさりげないデザインを選ぶことで余計な存在感を排除しました。
素材や仕上げの細部に徹底し、上質と美しさを両立したデザインとなっています。
天井の高さを既製品に合わせて揃える
引戸の美しさを最大限引き出すための設計の工夫は、天井の高さを既製品サイズに合わせることです。
このことでコストを抑えながらもフルオーダーのような建具の連続感を演出できます。規格に合わせて設計を逆算する発想の転換が建築のクオリティを底上げします。
引戸というと機能性重視のパーツという印象を持たれがちですが、細部の仕様にこだわることで空間の主役にもなり得る存在へと変わります。
既製品もどう使いこなすか、そこにデザインの本質があるのかもしれないと考えます。