木の素材感を生かしたインテリアにおいて、静かに人気を集めている「ラワン材」。一見すると地味で素朴に見えるこの木材ですが、実は表情豊かな個性を秘めています。
この記事では、ラワン材の基本的な特徴とともに、その色のばらつきさえも魅力に変える力についてご紹介します。
素朴で親しみやすい木材「ラワン材」

ラワン材は、主に東南アジア(フィリピンやインドネシアなど)に生育する広葉樹の総称です。柔らかく加工しやすいことから、建築材や家具、下地材など幅広い用途に使われてきました。ラワン材が日本に入ってきた時期も早く、広く普及しました。
木目は控えめで、ざらつきのある質感です。塗装もしやすく、ナチュラルな雰囲気からモダンな空間まで、幅広いインテリアと相性の良い素材です。
「色ムラ」こそが、ラワン材のいちばんの魅力

ラワン材の大きな特徴のひとつが、「色のばらつき」です。色調はホワイトラワン系とレッドラワン系などに分けられていて、ホワイトラワン系はやや桃色を帯びたような淡い色合いが特徴です。レッドラワン系は赤みが強いブラウンやレンガ色をしています。
ラワン材は2種類の色調にわけられていますが、さらに一枚一枚の表情が異なります。これを色ムラとしてネガティブに捉えるのではなく、「一点ものの個性」として楽しむのがラワン材の魅力です。
空間に取り入れることで、自然素材の持つ素朴さがやさしいリズムを生み出してくれるでしょう。
経年変化も楽しみのひとつ

ラワン材は時間とともに色合いが落ち着き、深みを帯びていきます。家具や天井、フローリングに用いることで、木の表情が日光や空気にさらされ、木肌が徐々に変化してより味わい深い雰囲気に。
新品の時のフレッシュな印象から、少しずつ暮らしに馴染んだ木へと育っていく様子を楽しめるのも、無垢材ならではの贅沢です。
ラワン材が選ばれる空間とは?

ラワン材は、以下のような場面でよく使われます。
・天井や壁の仕上げ材
・造作家具や収納棚の面材
・建具やドア
・下地としての使用(構造用合板など)
その素朴さを活かして、無機質な空間にあたたかみを加えたいときや、予算を抑えつつ質感ある仕上がりを目指したいときに選ばれることが多い素材です。
暮らしを包み込む背景となるラワン材の壁
KITIでも、多くの物件で壁にラワン材を使用しています。


こちらは、ラワンの壁に籐の建具を合わせています。物件全体がベージュ色を基調としており、ラワン材の持つ素朴な素材感が、高齢のご夫婦二人の生活にゆるやかに溶け込みます。

2人の夫婦と2匹の猫が済む住まいのキッチンの面材に使用したのもラワン材です。キッチンと、横に設けた化粧台スペースやソファー背面のワークテーブルの家具や建具をラワン合板で揃えることで空間に規則的なリズムを生み出します。

玄関の壁にラワン材を取り入れた物件です。高さのある壁もラワン材を使用することでその存在感をやわらげてくれます。
ラワン材は、豪華さや派手さこそないものの、自然素材ならではの豊かな表情を持つ素材。
色のばらつきや経年変化を味わいとして楽しむことで、日々の暮らしにもゆるやかな彩りが加わります。
均一で完璧な素材よりも、「ちょっと不揃いな美しさ」に惹かれる方には、きっとぴったりの選択肢になるはずです。