床材は住まいの印象を大きく左右します。そのために、素材の選び方や貼り方によってもその表情は変わります。
KITIでは、それぞれの住まいが持つ個性やお施主様の暮らし方に寄り添いながら、フローリング材の種類や貼り方を選んでいます。
今回は、3つの事例を通して私たちがどのようにフローリングを設計しているのかをご紹介します。
「素材」と「貼り方」で空間の印象が変わる

木のフローリングと聞くと、「どの素材を使うか」に目がいきがちですが、実は「貼り方」も空間づくりにおいてデザイン要素のひとつになることがあります。同じ素材でも、貼り方を変えるだけで印象がガラリと変わるのです。
フローリングの貼り方の種類を3つご紹介します。
・乱尺貼り:長さの異なる板をランダムに配置します。自然なリズムやラフな印象が特徴です。
・定尺貼り:均一な長さの板を貼るため、整然とした仕上がりになります。落ち着いた雰囲気の空間にしたい方に選ばれます。
・パーケット貼り:木片を組み合わせて模様を作り出すように貼ります。さまざまなパターンがあり、クラシカルな雰囲気やデザイン性の高い空間を作り出せます。
KITIでは、これらの貼り方に適した素材を組み合わせて、フローリングを設計していきます。ここからは、実際の物件のフローリングをご紹介します。
【アカシア材×パーケットフローリング】世田谷通りの家

アカシア材の持つ豊かな色味を活かしながら、パーケット貼りで空間にリズムを与えた事例です。短くカットした素材を交互に組むように並べることで、床自体が模様になり上質な空間へと仕上がりました。遊び心とクラシカルさを両方備えたパーケットは、素材の個性を引き立てます。
【オーク材×乱尺貼り】ハハ-ハウス

オーク材を採用し、あえて長さがバラバラの板を使った乱尺貼りで、素朴で親しみやすい印象のフローリングに仕上げています。オーク材のはっきりとした木目と明るい色合いが、やわらかく日常に溶け込むような床に。リラックスして過ごせる空間にぴったりの素材と貼り方の組み合わせです。
【桜材 × 定尺貼り】碑文谷の家

やさしいピンクベージュの桜材の色合いが特徴的なこちらの住まいでは、落ち着いた雰囲気の定尺貼りを選択しました。板の長さを揃えることで整った印象を持たせつつ、素材のあたたかみを引き立て、周辺の家具や照明などとも美しく調和するよう計画しました。
毎日触れる床を、私たちはどう見えるかだけではなく、どう感じるかも考えて設計しています。素材の持つ表情と貼り方の掛け合わせは、空間にやさしく深い奥行きをもたらしてくれます。