【KITI事例】キッチン特集第二弾~既製品と造作を組み合わせるという選択~

前回のキッチン特集では、空間に合わせて設計されたキッチンのあり方をご紹介しました。

今回の第二弾では、もう少し現実的な視点から、既製品と造作を組み合わせたキッチンのつくり方に目を向けてみます。

キッチンは、すべてを造作でつくることも、既製品で整えることもできます。
しかし実際の設計では、その間にあるさまざまな選択肢が、空間の質や使い勝手を大きく左右します。造作をどこまで取り入れるか、または既製品をどのように組み合わせるか、このバランスによって、キッチンのあり方は大きく変わります。

30%の造作で整えるキッチン|太子堂の家

太子堂の家では、既製品をベースにしながら、部分的に造作を取り入れたキッチンを計画しました。いわば「30%造作」ともいえる構成です。
機器や基本構成は既製品を活かしつつ、空間に合わせて面材や周辺の造作を整えることで、全体の印象を揃えました。

既製品の安心感や機能性を保ちながら、空間との関係性だけを丁寧に調整。コストとデザインのバランスを取りながら、過不足のないキッチンをつくるひとつの方法です。

事例:太子堂の家

70%の造作で空間に馴染ませる|芦花公園の家

芦花公園の家では、先ほどの「太子堂の家」よりも造作の比率を高めた「70%造作」のキッチンとしています。

既製品の機能をベースにしながらも、面材や構成を大きく設計に寄せることで、空間全体と一体化したキッチンとなりました。

白い空間の中に静かに馴染む面の構成や、周辺の造作との連続性によって、キッチンが設備として主張しすぎないよう整えました。

造作の比率を高めることで、空間全体の質を揃えることが可能になります。

事例:芦花公園の家

造作と可変性を両立する|町田の家

町田の家ではアイランドキッチンの面材を他の造作家具とそろえ、背面のキャビネットを造作仕様としています。

背面のキャビネットはあえて意匠をそろえず、空間のアクセントとなるようにデザインしています。また可動棚や固定収納をわけ使い分けることで、空間の使い方に柔軟性を持たせました。

事例:町田の家

線を揃えて整うキッチン|杉並の家

杉並の家では、キッチンまわりの建具や収納の高さを揃え、空間全体に連続したラインをつくっています。

高さや面の揃い方を丁寧に整えることで、キッチンは単独の要素ではなく、空間の一部として溶け込みます。

造作の割合に関わらず、どのように見えるかを整えることで、空間の印象は大きく変わります。

事例:杉並の家

既製品を活かしながら整える|墨田の家

墨田の家では、既製品のキッチンをベースにしながら、素材や周辺の仕上げによって空間を整えています。

設備としての完成度の高さを活かしつつ、タイルや仕上げの選び方によって、その住まいらしい表情を加えました。

既製品だからといって画一的になるわけではなく、周囲との関係を丁寧に整えることで、空間の一部として馴染ませることができます。

事例:墨田の家

割合で考えるキッチンのあり方

キッチンは、「造作か既製品か」という二択だけではなく、その間に、さまざまなバランスの取り方があります。

一部だけを造作とするか、面材だけを揃えるのか、また、空間との関係を整えるのか。

どこに手をかけ、どこを既製品に委ねるかの判断によって、コストとデザインの両立が可能になります。

キッチンを設備としてだけでなく、空間の一部として捉える視点が、住まい全体の質を静かに引き上げていきます。

写真:貝出 翔太郎