洗面台は毎日使う場所であると同時に、住まいの印象をつくる場所でもあります。
既製品に機能性や使いやすさがあるように、造作洗面には、空間に合わせて素材や寸法を調整しながら、暮らし方に合った設計ができる点がメリットです。
今回は、KITIが手がけた住まいを通して、造作洗面の考え方や工夫についてご紹介します。
洗面ボウルをどう選ぶか

造作洗面では、まず洗面ボウルの選び方で空間の印象が変わります。
「上置きボウル」は、カウンターの上に置くタイプのボウル。存在感があり、洗面所のアクセントになります。
「埋め込みボウル」は、天板の中に埋めるタイプです。すっきりとした印象になり、掃除のしやすさも特徴です。
デザインを優先するのか、日々の使いやすさを重視するのか、など、暮らし方によって心地よい選択は変わっていきます。
水栓や鏡で変わる空間の印象

洗面スペースでは、水栓や鏡の選び方も大切です。
壁付け水栓は天板まわりがすっきり見えやすく、整った印象にしてくれます。
また、鏡も「ミラーキャビネット」か「大型ミラー」によって見え方が変わります。
収納を優先するならミラーキャビネット、空間を広く見せたい場合は大型ミラーが向いています。
タイルで生まれる個性

タイル選びによっても、造作洗面の表情が変わります。
例えば、マットな質感にするのか、少し光沢のあるものにするのか、色を抑えるのかなど、同じ構成でもタイルによって空間の印象が全く異なります。
洗面は面積がコンパクトだからこそ、素材選びの個性が表れやすい場所でもあります。
生活感をどこまで見せるか

造作洗面は、タオル掛けの位置も空間の印象に大きく影響します。例えば正面に見せるようにつくるのか、側面に隠すのか、収納の中に収めるのか、などはほんの小さな違いですが、生活感という視点からでは大きく変わります。
KITIでは、使いやすさを保ちながら、空間全体が整って見える位置を検討しています。
来客との距離感を整える洗面|世田谷通りの家

世田谷通りの家では、玄関近くに来客用の洗面を設けました。
帰宅後すぐに手を洗える動線であると同時に、来客がプライベート空間に入らず使える構成です。
洗面を単なる設備としてではなく、暮らしと来客動線をつなぐ場所として計画しています。
洗面を空間として考える

造作洗面は、どこに鏡を置くか、どこにタオルを掛けるか、何を見せて、何を隠すかなど、小さな積み重ねによって、心地よさがつくられていきます。
毎日使う場所だからこそ、暮らし方に合わせて丁寧に整える。造作洗面には、そのような住まいづくりの考え方が表れています。
写真:貝出 翔太郎