anagumaは、自然派ワインとともに季節や会話を楽しめる小さなワイン食堂です。今回、その店先に新たに「外飲みカウンター」を設けるリノベーション工事が始まりました。
街とつながるオープンな空間でもっと自由に、もっとカジュアルにワインを楽しめるように。
今回はその施工の舞台裏を少しだけご紹介します。
「anaguma」についてはこちらもご覧ください。
KITIデザインプロジェクト「anaguma」
まずは窓を壊すところからスタート

店舗正面には大きな固定窓がありました。まずはその窓を解体し、新しい空間を設けるところから今回のリノベーションを始めました。
ガラスの解体は危険と隣り合わせです。ガラスが周囲に飛散するのを防ぐために、テープをメッシュ状に貼り慎重に部分ごとに割っていく繊細な作業を行いました。
新たな窓周りと引戸を設置

次に進むのは、新たな窓周りと引戸を設けるところです。現場に運び込んだ窓枠は、事前に工場で組み立てました。
窓枠を取り付ける際には直角の精度を出すために微調整しながら枠を固定していきます。この作業を「矩(かね)」を出すと言います。
そこに設置したのは3枚の縦引戸。戸の動きや嚙み合わせはなめらかで心地よい開閉にするためミリ単位で調整していきました。
窓と同じ樹種の木のカウンターの設置工事

続いては外飲みの主役でもあるカウンターの設置工事です。既存の壁の構造を理解し、下地を探りながら金物を取り付けていきます。
そこに据えたのが、窓と同じ種類の木で仕立てたカウンター天板。空間に統一感が生まれ、街とお店、内と外が一体になるような仕上がりを目指します。
解体の跡を美しく整える大工と左官の仕事

解体した窓周りの壁や天井もていねいに補修していきます。
木軸とベニヤで新たな下地を組み、左官仕上げのためのラスカット(モルタル下地材)を貼り付けます。
ここからは左官職人さんの出番です。まずは下塗りです。乾燥を待ちながら夜は通常営業。翌日は粒の細かいモルタルをつかって上塗りの仕上げを行いました。
塗ってはなじませ、また塗る。乾きが早くなる日差しと戦いながらの作業は時間との勝負でした。
anagumaの外飲みカウンターは、街と人をつなぐ小さな接点です。
職人たちの丁寧な手仕事が、ワインと空間にやさしい余白をつくり出しています。
この場所で、季節の風を感じながらワインを傾ける日が、もうすぐやってきます。
anagumaの新しい顔、どうぞお楽しみに。