以前のブログでブラインドの魅力をご紹介しました。直線的なラインで光を整えるブラインドに対して、カーテンは、もう少しやわらかな存在です。
布は、空間を強く区切らずに視線をやわらかく遮り、必要なときにはそっと閉じ、不要なときには束ねておけます。
今回は、間仕切りや視線の調整、将来の暮らし方の変化に応える手段としてのカーテンの使い方に目を向けてご紹介します。
扉の代わりに布を選ぶ|墨田の家

墨田の家では、パントリーの入口に開き戸ではなくカーテンを採用しました。日常的に出入りする場所だからこそ、扉を開閉する動作よりも、布をさっとよける軽やかさが暮らしに合っています。
視線は切りながらも、完全には閉じない。必要に応じて開放も閉鎖もできる、「決めすぎない」仕切り方です。
建具のように固定されないことで、空間に余白が残ります。
先に仕込む、未来のためのカーテン|町田の家

町田の家では、こもりスペースとして使用できる場所にあらかじめカーテンレールだけを設置しました。
普段はソファと一体の開かれた空間ですが、来客時にはマットレスを敷き、カーテンを引けば、簡易的な個室として機能します。
最初から分けてしまうのではなく、必要になったときに閉じられる準備をしておく。カーテンは、そのような暮らしの変化を受け止めるための仕込みでもあります。
風を映す布|町田の家

カーテンの魅力は、光を通すことだけではありません。
窓を開けたとき、そよぐ布が空気の流れを視覚化します。目に見えない風が、やわらかな動きとなって現れるのは、建具にはない表情です。空間の静けさの中に、小さな揺らぎが生まれるのを感じます。
写真で見るときも、風に揺れるカーテンは、住まいの呼吸のようなものを感じさせてくれます。
固定しないという選択

カーテンは、空間を強く区切ることはせず、必要なときにはきちんと役割を果たす存在です。
間仕切りとして、視線を整える装置として、将来への備えとして、ブラインドが「光を整える存在」だとすれば、カーテンは「暮らしをゆるやかに受け止める存在」かもしれません。
写真:貝出 翔太郎