【KITI事例】建具特集~暮らしを整える建具の考え方~

住まいの中で建具が担う役割は、部屋と部屋を仕切るためだけではなく、光を通すことや風を抜くこと、収納を隠すこと、空間の使い方を変えるなど、さまざまなものがあります。

KITIでは、建具をデザインの一部として考えながら、日々の使いやすさにも目を向けています。今回は、事例を通して、建具の考え方をご紹介します。

空気と視線を整える建具|芦花公園の家

芦花公園の家では、寝室まわりにガラスの間仕切りを設けています。

寝室をしっかりと囲い込みすぎると、空気がこもりやすくなったり、住まい全体の広がりが感じにくくなったりすることがあります。
そこで、寝室の左側には換気用の引き戸を設け、空気が抜けるように計画しました。

また、リビングと他の部屋を仕切る部分には、引き込み戸を採用しています。
開けたときに建具が壁の中へすっきりと収まるため、コンパクトな廊下であっても、空間を広く使えるのが特徴です。

閉じれば落ち着いた個室になり、開ければリビングとつながる、広がりのある空間になります。

建具の開閉によって、空気の流れや視線の抜け、部屋の使い方を調整できるようにしています。

暮らしの変化を受け止める建具|町田の家

町田の家では、壁面いっぱいにツインカーボの建具を設けています。

ツインカーボは、光をやわらかく通しながら、視線を適度に遮る素材です。
完全に閉じた壁にするのではなく、光を受け取りながら空間を仕切ることで、部屋の奥まで明るさが届くようにしています。

子ども部屋となる空間には、ラワンのランバー材を使った建具を採用しました。
きれいに整えすぎるのではなく、素材の表情を残したラフな仕上げとすることで、住まい全体に少し肩の力が抜けた雰囲気が生まれています。

この住まいでは、家族の成長に合わせて空間の使い方が変わることを前提にしています。
建具は、その変化を受け止めるための仕組みでもあります。

仕切ることで個室性をつくり、開けることで空間をつなげるなど、建具によって、今の暮らしにも、これからの暮らしにも対応できる余白を持たせています。

収納を空間の一部にする建具|押上の家

押上の家では、テレビの両側に大きな収納を設けています。
一見すると壁面の一部のように見える部分も、実は収納として機能しています。

リビングは、家の中でもものが集まりやすい場所です。日用品や書類、家電まわりのものなどをしまう場所が不足すると、空間の印象が雑然としやすくなります。

そこで、収納を建具と一体で計画することで、必要なものをしまいながら、リビングの見え方も整えました。

建具の役割は、収納を隠すことだけではなく、扉の割り付けや素材、色の選び方によって、収納そのものを空間の背景としてなじませることができます。

使いやすい場所に、必要な量を確保し、そのうえで、空間として美しく見えるように整えられるよう、押上の家の建具には、機能とデザインを両立させるための工夫を込めています。

暮らし方を調整する建具の存在

建具は、空間の印象をつくる大きな要素です。
同時に、暮らしの使いやすさを支えるものでもあります。

風を通すための小窓や空間を広く使うための引き込み戸、光を届けるための半透明の建具、家族の変化を受け止める仕切り、収納を空間になじませる扉など、どれも、見た目だけで選ぶものではなく、その住まいでどのように過ごすかに合わせて考えるものです。

KITIでは、建具を単なる仕切りとしてではなく、光や風、収納、暮らし方を整えるための設計要素として捉えています。
デザインと使いやすさ、その両方を大切にしながら、住まいに合った建具を考えています。

写真:貝出翔太郎