梁も美しく魅せる間接照明~ハハ-ハウスより~

リノベーションにおいて、構造上どうしても避けられないのが梁の存在です。ときに空間を遮る要素となりがちな梁ですが、設計の工夫次第ではその存在を和らげるだけでなく、衣装の要素としてデザインすることもできます。

今回ご紹介する「ハハ-ハウス」では、梁を活かした照明設計で、暮らしの中に光のリズムと奥行きをもたらしました。日常を美しく照らす、光と空間のデザインをご紹介します。

梁を隠すのではなく魅せるへ

リノベーションでは梁の存在が設計の難所となることがあります。空間の天井ラインを分断したり、視線の抜けを妨げたりと、マイナスに捉えられることもしばしばです。

しかし「ハハ-ハウス」では、その梁を空間の印象を際立たせる設計に。梁下に設けた間接照明が水平ラインを強調し、空間に奥行きと落ち着きをもたらしています。

細長い間取りに導線を描く光

リビングからキッチンへと続く細長い間取り。その構成に合わせて設置した間接照明は、まるで光が空間の流れを導いているようにも見えます。

梁下に沿って伸びる光のラインが奥行きを感じさせるだけでなく、住まい全体の構成を一層美しく見せています。

暮らしの質を底上げする明るめの照明

一般的に、間接照明はレストランやホテル、寝室などで雰囲気重視として使われることが多いものですが、「ハハ-ハウス」では、あえて明るめの光を採用しています。

その理由は、住まい手のライフスタイルと年齢に寄り添った設計であるからです。暗さによる雰囲気づくりよりも、「暮らしやすさ」や「目へのやさしさ」を優先した照明計画で、光が生活に自然に溶け込むことで、心地よく、明るい暮らしが実現しました。

美しさとは、ただ見た目の話ではなく、そこに暮らす人への思いやりから生まれるものでもあります。今回のプロジェクトでは、梁の処理や照明の明るさひとつにも、住まい手への思いやりを込めました。

「ハハ-ハウス」のリノベーションは、機能とデザインを両立させる、生活者目線の設計ともいえ、この空間にやさしさと美しさを生み出しています。