住まいには、日々の暮らしに欠かせない設備やスイッチ、窓があります。
ただ、これらが視界に入りすぎると、空間はどこか落ち着かない印象になってしまいます。
KITIでは、設備を無くす方向ではなく、必要なときにはきちんと使え、普段は空間に溶け込むような「隠し方」を考えています。
今回は、設備や操作部を見せないことで、空間のノイズを抑えて暮らしを整えた3つの事例をご紹介します。
必要なときだけ現れる操作部|町田の家

町田の家では、インターホンや給湯器のリモコンといった操作部を、プッシュラッチ扉の内部にまとめて収納しています。

普段は扉を閉じておくことで、壁面はすっきりとした印象に。操作が必要なときだけ扉を押して開き、使い終えたら再び隠すというシンプルな動作で、生活感が表に出にくい空間をつくりました。
設備を見せないことで、壁が背景として機能し、家具や素材の表情を引き立てます。
主空間をフラットに保つ配置|芦花公園の家

芦花公園の家では、リビングから見える範囲にできるだけスイッチ類を出さないよう計画しました。
キッチン背面側にスイッチや操作部を集約することで、リビング側の壁は静かな表情に。視線が集まる空間だからこそ、情報量を抑えています。
スイッチを減らすのではなく、おき場所を選ぶことで、暮らしやすさと見え方のバランスを整えた事例です。
「窓をしまう」という発想|押上の家

押上の家では、ロッカー裏にある既存の窓が共用廊下に面しており、中の様子が見えてしまうため、扉で覆う計画としました。
普段は収納の一部として壁面に溶け込み、換気や大掃除の際には、開けることで換気のできる窓として機能します。
窓を完全にふさぐのではなく、使う場面を選びながら隠すことで、収納と開口部の役割を両立させています。
エアコンを壁の中に収めるという考え方

今回のこの「隠し方」の設計についてご紹介するきっかけとなったのが、太子堂の家の「エアコン意匠カバー」の事例でした。
リビングの窓際では、梁の下面に合わせて棚板を通し、その上部にエアコンを配置。
棚板が梁を受け止めるように走ることで、梁の存在そのものを、空間の一部として整えています。
エアコンには蓋を設け、使用していない時期には壁面と同化。必要な機能を残しながら、視界からはそっと外すようにするような考え方が、この計画の根底にあります。
「見せない」は、暮らしを整えるための選択肢

設備や操作部を隠すことは、決してデザインのためだけの工夫ではありません。視界に入る情報が減ることで、空間は落ち着き、暮らしの動作も自然と整っていきます。
KITIが大切にしているのは、使いやすさを損なわず、空間のノイズを抑えること。「隠す」という小さな工夫の積み重ねが、住まい全体の心地よさにつながっていくと考えます。
写真
1、2、5、6、7枚目:貝出 翔太郎