照明特集 第2弾~光の当て方で変わる住まいの心地よさ~

照明というと、「部屋を明るくするもの」というイメージがあるかもしれません。
けれど実際の住まいづくりでは、ただ均一に明るくするだけではなく、どこを照らし、どこに陰影を残すかを考えることで、空間の心地よさが大きく変わります。

今回は、光の当て方の工夫についてご紹介します。

壁を照らして空間に奥行きをつくる

ダウンライトというと、部屋全体を均一に照らすものをいう印象があるかもしれません。
ですが、挟角タイプの照明を壁側に寄せるように配置すると、対象を絞って照らすことができます。

壁に光を落とすことで空間に奥行きが生まれ、実際の広さ以上に伸びやかな印象になります。このような使い方は「壁を洗う」ともいい、空間を整えるための手法の一つです。
押上の家ではこの考え方を取り入れ、壁際に挟角タイプのダウンライトを配置しました。

光そのものの存在を和らげる

一般的に、照明は空間を明るくするために用いられるものですが、ときには器具そのものの存在感が強くなりすぎてしまうことがあります。

その存在感の強さをやわらげる照明の選択肢の一つが、表面にミラー加工を施したタイプのものです。

消しているときは周囲の景色を映し込み、照明の存在感をやわらげながら空間に自然になじみます。一方で点灯すると、必要な光をしっかり届けてくれます。

KITIが手がけたanaguma芦花公園の家では、このタイプの照明を採用。明るさを確保するだけではなく、光そのものの見え方も含めて空間を整える工夫をしています。

低い位置の光で居場所をつくる

照明は、天井から部屋全体を照らすだけではありません。
ソファ脇やダイニングなどの、人の目線に近い位置に光を置くことで、その場所に自然な落ち着きが生まれます。また、光の高さが変わるだけで、空間の感じ方も変わっていきます。

写真の押上の家は、ソファ脇に低めのペンダントライトを設け、くつろげる場所をつくりました。部屋全体を明るくするだけではなく、「ここで過ごす」ための光としても活用できます。

素材を引き立てる光をつくる

照明は、素材の表情を引き立てる役割も持っています。
壁や木の質感に沿って光を当てることで、わずかな凹凸や素材の陰影が浮かび上がり、空間に奥行きが生まれます。

写真のハハ-ハウスでは、ラワンの壁を照らすように間接照明を設けました。
光が素材の表情をやわらかく引き出し、静かな存在感をつくっています。

光と影のバランスで、空間を整える

すべてを明るく照らすのではなく、あえて影を残すという考え方もあります。
楓灯の家では、天井に直接照明を設ける代わりに、間接照明によって空間全体を整えています。
壁や天井に反射したやわらかな光が広がり、穏やかな陰影が生まれました。明るさを足すだけではなく、光のバランスを整えることで、落ち着いた空間になります。

光は足すだけなく整える

照明計画は、どこに光を届け、どこに影を残すか、どのように素材や空間を見せたいか、などの考えの積み重ねによって、住まいの印象や心地よさが変わります。

光を足すだけではなく整えることは、住まいづくりの大切な設計の一つと考えます。

写真:貝出 翔太郎