東京・錦糸町に誕生した新たな賃貸マンション。
都市の法規制をクリアしながら眺望を最大限に活かした設計が、ここに理想の住まいを形にしました。
今回は、設計に込めた工夫や、ここでしか味わえない景色についてご紹介します。
都市に溶け込む地上15階建てのランドマーク

東京・錦糸町に完成したのは、地上15階建て、高さ44メートル、総戸数48戸を誇る賃貸マンションです。
延べ床面積2,385㎡のスケール感は、都市計画と設計技術の粋を集めたもの。
周囲の景観に溶け込みながらも、ひときわ存在感を放つ建物となっています。
道路斜線と隣地斜線を活かす工夫
都市部の建築では「道路斜線」や「隣地斜線」といった法規制が避けて通れません。
通常、前面道路の幅に応じて建物の高さは制限されますが、この物件は道路・公園・高速道路に面した希少な立地です。
そのため、高速道路の外側までを前面道路として計算できたことで、道路に面する南側側面は正形で高い建物を実現しました。
31メートルを超える部分では、建築基準法に基づく隣地斜線制限をクリアするため、道路側以外は上階をセットバック。

法規制に正しく対応しながらも、建てられる限界ギリギリのところまで空間を有効に活用しています。
最大面積とコストパフォーマンスを両立
賃貸住宅事業においては、収支計画の成否がプロジェクトの成否を左右します。
設計者に求められるのは、法規を踏まえつつ最大限の延床面積を確保し、コストパフォーマンスにも優れたデザインを実現すること。
このマンションは、限られた条件の中でも収益性とデザイン性を高いレベルで両立しています。
公園の緑とスカイツリーを望む贅沢な眺望

南側には大きな公園が広がり、低層階では桜の季節には花が咲く様子を目の前で見られます。高層階では公園越しに広がる大パノラマの景色が楽しめる贅沢な眺望が待っています。

この敷地は南東側の前面道路以外に北西に細長い路地状の部分を有する形状となっています。
建築基準法に定められた避難経路を北側に確保しており、北側の道路へとつながる設計とすることで南側道路側がすっきりとした立面になるのです。実はこの路地状の部分が建物実現のカギとなっています。
さらに、高層階のリビングからは南向きの緑を楽しみつつ、北側の小さなワークスペースからは、スカイツリーを望むことができ、住む人の日常にさりげない感動を添える設計としました。

都市のルールを理解し活かすことで生まれた錦糸町の賃貸マンション。
限られた条件のなかでも、最大限のボリュームと美しい眺望を叶えたこの住まいは、住まう人々に新しい豊かさをもたらしてくれるでしょう。