ノイズを消す照明スイッチの高さとは~KITIのデザインへのこだわり~

スイッチやコンセントなどは、住宅のなかでは一見些細とも思われる要素ですが、実はその部分にもこだわりを持たせることで室内のデザインとの調和が生まれます。

今回は、照明スイッチの高さについてKITIのこだわりや考え方をご紹介します。

一般的な照明スイッチの高さとは

部屋の照明スイッチの高さはどれくらいが理想なのか、ご存知でしょうか。

一般的に、照明スイッチは床から1100〜1200mmの高さに設置される場合が多いです。これは成人の平均的な手の届く高さを考慮したものです。

しかし、近年のユニバーサルデザインの考え方が広まるにつれ、より多くの人々にとって使いやすい高さが検討されるようになっています。例えば、車椅子を使用される方や高齢者の方々の使い勝手を考慮した場合などは、1000mm程度の高さに設置されるケースも増えてきました。

高さ900mmへのこだわり

KITIがデザインする家には、建具の引き手やドアのレバーハンドルなどとの高さを統一するために、床から900mmの高さに照明スイッチを設置しています。

壁面にさまざまな高さの要素が点在していると、視覚的に雑然とした印象を与えてしまうことがあります。特に壁面自体をインテリアの一部として魅力的に見せたい場合、照明スイッチはできるだけ壁面に溶け込むようにするのが理想的です。

こちらの事例で私たちが強調したいのが、壁に沿ってリズミカルに連続する建具、そして壁面を照らす照明の反復でした。

そのため、可能な限りノイズとなる要素を減らし、空間の本質的な魅力や強調したい部分だけが目に入るよう、そしてよりシンプルに魅せるためにスイッチの高さを引き手・レバーハンドルに合わせるようにしました。

900mmという照明スイッチの高さは、どの方にも十分に使いやすい位置だと考えています。

ただし、すべての物件にこの照明スイッチの高さを採用するということではありません。例えば、お客様が使い慣れた高さを希望される場合や、高さ調整の難しい既製品の建具を設置する場合などは、その住まいに合った解決策を見出すよう心がけています。

このように、一見些細に思える照明スイッチの高さひとつとっても、機能性そして空間全体の調和を考慮した細やかな配慮が大切だと考えます。これはKITIのデザイン哲学の一端を表す、小さいながらも大切なこだわりのひとつです。住まいのデザインにおいて、こうした細部への配慮が最終的には居心地の良さや空間の質の向上につながると考えています。