わたしたちの“KITI”づくり#02桜の木がなくなれば

前回のお話はこちら「わたしたちの“KITI”づくり#01新事務所計画

KITIの事務所はアパートの一室。メンバーが増えて手狭に感じてきたことから、新事務所計画が持ち上がります。

新事務所の舞台は、今の事務所の隣の隣の一室。「まちに開かれた事務所」をコンセプトにプランも決まりつつある頃……とある事件が起こります。

新事務所計画は中止……と思いきや

朝、いつも通り会社で打ち合わせをしているときのことです。

伊藤「端的に伝えるのと、長く伝えるのどっちがいい?」

——あ、もしかすると、新事務所計画は中止かもしれない。そういえば出勤時、伊藤さんのお母様の声がちらっと聞こえたしなぁ。

実は新事務所の予定地は、設計担当・伊藤のお母様が所有する物件。そして業界的にも、途中で止まってしまうプロジェクトは珍しくありません。楽しみにしていただけに残念に思いましたが、そういうこともあるかと気を取り直したそのとき。

伊藤「今住んでいる家を、母親に返そうと思って」

——家!?

てっきり新事務所だと思い込んでいた私。想定と違う話が飛んできたので、びっくりしてしまいました。

伊藤のご両親と「桜の木」事件

伊藤のご両親が暮らすのは、海沿いの丘陵地。
丘の上なのでプライベートも守られ、リスが遊びにくるほど自然豊かな土地です。

広いお庭は植物に囲まれており、そのなかでもご両親のお気に入りが桜の木。
子供たちもここへ花見にくるのを、とても楽しみにしていました。

そんななかで行政より連絡が……
安全のため崖の補強をしたい、そのために庭の木を一部切らせてほしいとのこと。
その中の一本が、大好きな桜の木でした。

桜は切られ、住み替えの決断をする

何年も思い出を共有してきた桜の木。
しかし崖の補強ができないと、大雨で崩れてしまう恐れもあります。
安全性を考えると「桜の木を切る」以外の選択肢はありませんでした。

木々が切られてしまうと、目の前のマンションからお庭は丸見えに。
それまで「足腰が悪くなってきているし平屋がいいな」「そろそろ便利な都心に住みたいな」とも思っていたため、引越しの後押しへとなったのです。

現在、伊藤が住んでいるのは、お母様所有のアパートの一階。リノベーションのかいあって非常に住みやすいため、こちらをご両親へと返すことにしたというのです。
なるほど確かに条件にもあっているしちょうどいいかもしれない。

——あれ?
では伊藤さんたちは、どこに住むつもりなのだろう……
まさか……

さてこうなると、新事務所計画には、どのような影響がでてくるのでしょうか?つづきは次回!