わたしたちの“KITI”づくり#03新事務所のボツ案を公開

▼これまでのお話
わたしたちの“KITI”づくり#01新事務所計画
わたしたちの“KITI”づくり#02桜の木がなくなれば

私たちKITIの新事務所が完成するまでのストーリーをご紹介するこのシリーズ。

前回は番外編として「新事務所が完成しました!」とご報告させていただきました。

さて今回は、新事務所の「ボツ案」についてご紹介できればと思います。

というのも、完成した新事務所を見て、違和感をおぼえた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

……以前ちらっとお見せした模型と、プランも場所も違うんじゃない?と。

新事務所の模型
完成した新事務所

そうなんです。こちらの模型をご紹介した時点では、1階に新事務所ができる予定でした。

新事務所はアパートの最上階(3階)と、そもそも部屋の位置が変わったのです。

せっかくなので今回は、ボツになった新事務所案のこだわり部分をご紹介できればと思います。

まちに開かれた事務所をつくる3つのアイデア

KITI新事務所のコンセプトは「まちに開かれた事務所」。

地域の人々が集まる空間として、浮上したのが「ライブラリースペース」をつくる案です。

101号室から102号室を貫通し、外に向かってまっすぐ伸びるライブラリー。そこに地域の人が集い、私たちは仕事をする。

そうすればきっと多様性のある、居心地のよい空間ができていたでしょう。

しかし、ただライブラリースペースがあるだけでは地域の人は集まりません。

思わず「入ってみたい」と思わせるようなエントランスにしなければならない。

そこで伊藤と安齋で出し合った案が「トンネル案・ベンチ案・コの字壁案」の3つです。

1.トンネル案

現状のサッシと同じ大きさのフレームで、トンネル状の空間を作る案です。

アパートから謎のフレームが突き出し、思わず足を止める人が増えそうな予感。

道路面から少し高いので段差は設けないといけませんが、トンネルに座れるのもポイント。

にぎわいが外へとあふれ出していきそうな、ステキなアイデアでした。

2.ベンチ案

ライブラリースペースの外に、小さなベンチを配置する案も出ました。

外に座ったり、ごはんを食べたり、勉強ができる場所をつくれば、自然と人も集まりやすいはず。

夏であれば、仕事終わりにここでビールでも飲んだら気持ちがよさそうです。

3.コの字壁案

そして決定したのが、こちらの「コの字壁案」です。

トンネル案の弱点だったのが、道行く人から内部が見えにくい点。

そこで袖壁の一辺をなくし、下の面を大きく伸ばすことで開放的な見た目に。

多くの人が座ることもできる、画期的な案でした。

地域の子供から大人まで集まるライブラリースペース

ライブラリースペースの内部も、子どもから大人まで過ごしやすいように工夫。

ソファースペースとデスクスペースを交互に設けることにしました。

子どもたちが宿題できるように、デスクは一般的な高さに設定。

リモート会議などもできるよう、奥行きのあるデスクにしました。

KITIメンバーの事務所スペースは小上がり+ひと工夫

そしてKITIメンバーが使う事務所スペースは小上がりに。

小上がりは目線の高さをズラす効果があるだけでなく、下部に引き出し収納を作ってサンプルなどを入れることもできます。モノが多い建築事務所にピッタリの仕様です。

入口が狭くならないよう、小上がりの角はR(曲線)にしたのもポイント。

立体感のある奥行きと、800mmの有効幅を確保できました。

泣く泣くボツとなった、新事務所案のお話は以上です。

いつかこの案が花開く日を願って……それではまた次回。