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都心部に立つ築50年の団地の一室のリノベーションである。

60㎡の小さな空間に、施主夫婦の憧れの空間を詰め込んだ。

浮いた本棚と、それにつく腰上の障子、窓面の壁の中に隠れる引き込み障子、窓辺のコーナーソファ、人工大理石のアイランドキッチンとダイニングテーブル、ワークテーブルにつながる寝台と間接照明。団地の構造的な制約の中で、これらひとつひとつの造作に対し、意匠性と耐久性を損うことのない、ディテールと施工方法を提案した。

低い腰壁から持ち出している本棚は、それ単体だけでは手前に倒れてしまうため、構造躯体への緊結が必要になるが、古い団地では、躯体を傷つけるような施工方法は好ましくない。そのため、これらの腰壁は、背後にある寝台やソファ台の下地と緊結し、一体の構造として固めることで、本の重さを力学的に支えている。

枠とクロス壁の取り合いには、底目地を切ることで、枠のチリが出なくても良いディテールにしている。家具の多い空間でもチリの取り合いによる納まりのエラーが起きにくい設計である。

木材の樹種には、棚、窓枠、建具、床、建具、柱とでそれぞれ少しずつ色味や目の粗密が異なるものを使っている。意匠の要望とその時々でかわる材木の流通状況に合わせ、丁寧な調整を行い、上品すぎず、またラフすぎないバランスの整った印象に仕上げた。

KITIの澤田が施工監理を行い、寺澤がCamp Design時代に設計を担当した。

 

以下Camp Design inc. のHPより抜粋

 

都心部の広い公園に面した場所に建つ、集合住宅の一室の改修である。既存建物自体は少し古く、団地に近い建物だった。この場所の特徴である、眼下に広がる公園や都市の風景を庭のように取り込みながら、小さな居場所の連なりをいかにしてつくれるかを考えた。

クライアントは若い夫婦で、60㎡程のスペースの中にキッチン・ダイニング・ソファースペースのあるリビング・寝室・それぞれのワークスペースを設けたいという要望があった。また、台形の間取りの中央に梁せい600近い大梁が通っているため、部屋が分断されていた。そのため、大梁を軸に左右にスペースを設けて、南面側にはキッチン・ダイニングやリビングを、東面側には寝室・それぞれのワークスペースを設けることにした。

加えて、公園に面していることの開放感を感じられるように、収納棚を組み込んだ腰壁で領域を仕切り、閉じる必要がある場所には障子や框戸を設けている。また、南面の掃き出し窓に面して障子を設けており、閉じたときには落ち着いた室内環境を楽しめるようにしている。これらの障子は、框と桟の寸法を統一した「吉村障子」の写しである。寝室とリビングの間は、荒組の両面組子として表裏が出来ないようにした。また、南面の掃き出し窓に面したものは壁引き込みにしている。公園上の開放感と障子を閉じたときの静かな安堵感を、自在に選びとれる家になっている。

公園上の家

分類:リノベーション

案件分類:施工

担当:澤田大悟

設計:藤田雄介・寺澤宏亮(Camp Design inc.)

主用途:住宅

構造:鉄筋コンクリート造

延床面積:60.61

設計期間:2023年1月~2023年6月

施工期間:2023年7月~2023年12月

写真:長谷川健太