東京都内にある40平方メートルのマンションのリノベーションを行いました。
目指したのは、お施主様と1匹の猫が暮らす、落ち着いたワンルームです。
このマンションは高台の上階に位置し、東側の2つの掃き出し窓からは街の景色が一望でき、豊かな太陽光も差し込みます。お施主様は、緊急時の猫との避難の難しさを考慮し、この場所を猫とこもれる「究極の猫部屋」とすることを希望されました。
物件は以前にリノベーションが行われており、キッチンやユニットバスなどは最新の設備が整っていました。そのため、これらの機能的な部分は維持しつつ、間取りと内装を刷新することに。
二部屋を繋ぎ、開放的なワンルームへ
従来の間取りは水回りを除くと、LDKと寝室の2部屋構成でした。この2部屋の仕切りを取り払い、開放的なワンルームの構成を作り上げました。
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“KITI”づくり ~【マンションリノベ編2】究極の猫部屋を目指して~
壁面は塗装仕上げで、一部に木板を貼って温かみのあるアクセントを。天井は白塗装を施すことで、空間の高さを強調しています。
既存のキッチンの腰壁を隠すため、木製のパネルを設置。扉材を木板に変え、真鍮の取っ手を付けることで、造作キッチンのような統一感のある外観としています。
キャットウォークにもなる寝室のアール壁
寝室は緩やかな曲線の壁でゾーニング。壁は天井まで届かない高さに抑え、上部をキャットウォークとして活用。既存の大梁の配置を考慮し、リビングからキャットウォークを歩く猫の姿が見えるよう、お施主様と一緒に壁の位置と高さを慎重に検討しました。
窓際はデスクスペースとして活用される予定。奥の棚には段差をつけ、壁上部のキャットウォークへの動線となるキャットステップの機能も持たせました。
猫と人の暮らしを考えた設計
猫と人が共に暮らすこの空間では、適度な距離感を保てるよう配慮。猫が扉を勝手に開閉してしまわないよう、トイレの扉には握り玉を、キッチン下部の扉には打掛錠を採用しました。
また、各所に設けた猫用トンネルにはスチール製の枠材を壁に埋め込み、耐久性を高めました。サニタリーの扉も猫トンネルと同様のデザインとし、室内全体の調和を図っています。
過去記事:“KITI”づくり ~【マンションリノベ編2】究極の猫部屋を目指して~猫トンネル編
このように、猫の特性と住む人の生活習慣を考えながら機能を設計することで、コンパクトながらも工夫を凝らした住空間が実現しました。
今後、お施主様と猫がこの究極の猫部屋でどのような暮らしを過ごされていくのか、とても楽しみです。