ところどころに昭和の記憶を感じる団地。団地リノベーションは、古き良き時代の温もりを残しながら、現代の暮らしに寄り添うデザインへと生まれ変わらせます。今回は、団地リノベーションを考える際に知っておくべきことや、KITIが手がけた団地リノベーションで理想の暮らしを叶えた事例をご紹介します。
団地リノベーションをするうえで知っておきたいこと
団地をリノベーションする際には、いくつか知っておきたい注意点があります。
構造
団地でよく採用されている「壁式構造」では、分厚いコンクリートの壁が建物を支えています。壊せない壁が多いため、間取り変更では工夫が必要です。
配管
古い団地では給排水管の老朽化が見られることも。漏水や詰まりなどの原因となるため、リノベーションと同じタイミングで修理や交換を行うと良いでしょう。
電気
集合住宅では、各部屋で契約できる電気容量の上限が決まっています。団地の建設当初は想定されていなかった家電が増えており、リノベーションでIHなどを導入する場合も多いため、容量アップの検討も必要です。
断熱
古い団地は壁に断熱材が入っておらず、エアコンの効きが悪いことも。リノベーション時に断熱材を追加したり、二重窓を取り入れたりすることで、快適で光熱費を下げることができます。
case#01 築40年の団地の一室をシンプルな空間へリノベーション
築40年以上の団地の一室をリノベーションした物件。壁式RC造のため、壁を壊すなどした大幅な間取りの変更は難しい状況でした。
そのため私たちが考えたのが、限られた4つのスペースでいかに快適な生活環境を整えていくかという点。今ある4つのスペースにそれぞれ「水回り・寝室・キッチン・リビング」を割り当て、各機能を再構成しました。
それぞれのスペースの広さには限りがあります。そこで、水回りは玄関ホールと一体化させ、できるだけ邪魔にならない洗面台を設置しました。
キッチンエリアには壁付けキッチンと大きな収納兼作業台を設け、冷蔵庫と冷凍庫もここに収納しています。
寝室は将来お子さんが大きくなったときには仕切って、子ども部屋を作れるようにしました。
各スペースの広さに合わせて必要な部屋を再構成し、シンプルで快適な生活空間を実現。ご希望であった生活の要素を最小限に抑えることで得られる心地よさを尊重した各部屋のレイアウトを慎重に検討しました。
事例 | 白と黒の家
case#02 小さな空間にご夫婦の憧れが詰まった団地リノベーション
都市部の広い公園に面して建つ、60平米の集合住宅の一室をリノベーションし、ご夫婦の憧れの空間を作りました。
老朽化した建物、そして団地の持つ構造的な制約に対してどのような工事をしていくかという点が、このリノベーションの課題でした。
例えば、古い腰壁から持ち出した本棚は、単体では手前に倒れる危険があります。本来であれば本棚のずれを防ぐため、建物の骨組みにしっかりと固定する作業が必要ですが、古い団地のため構造躯体を傷つける方法は好ましくありません。
そこで私たちが行ったのが、腰壁を背後の寝台やソファ台の下地にしっかり固定し、一体化することでした。これで本の重さを効果的に支えることができています。
団地ならではの構造的な制約を検討を重ねながらクリアし、耐久性と意匠性を両立させた団地リノベーションとなりました。
事例 | 公園上の家
団地リノベーションは構造上の課題もありますが、構造について理解し、懸念点をひとつひとつていねいに解決していけば、現代の生活に寄り添うデザインへと変化させられます。これから団地リノベーションをお考えの方は、ぜひKITIにご相談ください。