創業の思い②就職活動で見た、この先の建物再生について

私が、なぜこの建築でも特にリノベーションという世界に魅力を感じ展開していきたいかというと、それは、就職活動時代に遡ります。

数学が苦手で、建築学科に受からなかった私は、文系の大学に通っていました。しかし、建築の世界に諦めがつかず、夜間にダブルスクールで、建築の専門学校に通うようになりました。

日中は、大学。夜間は、専門学校といったかたちで、自分の知見を広げていきました。その後就職活動に差し掛かった私は、どんな仕事をしたら、自分の志と、これからの世界とを、繋げていく事ができるのだろうと真剣に考えていきました。中々、答えが出ない中、ある空間との出会いが私のリノベーションの世界に魅力を感じる事になる大きなポイントとなりました。

それは、裏原宿にある『カフェ・オー・ゴーゴー』というカフェ。築40年のアパートがリノベーションされてカフェになっていてました。敷地の真ん中に立っている木を、囲うように増築もされ、ツリーハウスカフェになっている。そのカフェは、ツリーハウスビルダーの小林崇さんという、とても魅力的な方が経営されているカフェで、その建物を見たとき、ビビビッと稲妻が走るように原風景を思い起こしました。『これだ、私がやりたいのは。古いものを、リバリューして、みんなの集まる場所にする。さらに自然と融合なんかさせて、そんな空間をつくる人になりたいんだ。』自分のやりたいことが目の前に出来上がっている事で、感動し、自分の仕事の方向性に決着がついた瞬間でした。

 戦後の日本の建物は、スクラップ&ビルドという、建てては、壊し、建てては、壊しを繰り返すサイクルを持っていますが、今後は、日本の建築技術の目覚ましい向上により、その既存住宅を、デザイン的にも、機能的にもさらに向上させていき付加価値を持たせて、使い繋げていく時代になると思っています。ソフト面や内装環境は、新しい技術で進み、構造部分はリバリューして使い続けるといった形で建築と関わっていきたいと思っています。